退屈から抜け出すための映画

観た映画を記憶に残すための記録ブログ。

キャストや豪華な衣装は魅力的だけど・・・。「オーシャンズ8」

オーシャンズ8」

オーシャンズ8

パンフレットは情報量が多くてコラムも豆知識も多く面白い。衣装についての解説もあるのでファッションに興味がある人には特におすすめ。

作品について

公開:2018年/アメリ

原題:Ocean's Eight

監督・脚本:ゲイリー・ロス(「ハンガーゲーム」)

製作:スティーブン・ソダーバーグ(「オーシャンズ」シリーズ監督)、ジョージ・クルーニー

出演者:サンドラ・ブロックケイト・ブランシェットアン・ハサウェイ、ミンディ・カリング、サラ・ポールソン、オークワフィナ、リアーナ、ヘレナ・ボナム=カーター

あらすじ

ダニー・オーシャン(ジョージ・クルーニー)の妹、デビー(サンドラ・ブロック)は約5年間の服役の末に刑務所から出所する。出所時の面接で「二度と犯罪はしない」と宣言したデビーだが、服役中にある壮大な犯罪計画を練っていた。それはファッションの祭典、”メットガラ”でカルティエの”トゥーサン”という超高級ネックレスを盗み出すというものだった。計画を実行するべく、仲間たちを次々とスカウトしていくデビー。綿密に準備を進め、祭典当日を迎える。しかし、デビーには宝石を盗み出すこと以外にもある目的があった・・・。

感想など

オーシャンズ』シリーズをオール女性キャストでリブートさせた今回の作品。ダニー・オーシャンの妹であるデビーが刑務所から出所し、服役中に考えたという犯罪計画を実行するために次々と仲間を集結させ、見事なまでに堂々とターゲット(カルティエの超高級ネックレス”トゥーサン”)を狙う。アクションや銃撃戦、爆破などは一切なしで、手先のテクニックや頭脳戦で周囲を欺きます。魅力的なキャスト、美術、衣装など豪華絢爛で眺めているだけでも楽しめます。

冒頭から繰り広げられるデビーの万引きテクニックには驚かされました。デビーが出所後、真っ先に向かうのが”バーグドルフ・グッドマン”というニューヨークで最も高級な百貨店。化粧品売り場で商品をポンポン手に取っていくデビーが何をしたかというと、そのままレジに直行してドサドサっと商品を置いて一言。「返品したいんだけど。」レシートなどはもちろんないので店員さんに断られるんですが、しばらく粘ってその後「わかった。じゃあ返品しない。」(えっ?)「あ、袋ちょうだい。」(!)といってショップ袋をもらい、その中に商品を入れて堂々と持ち帰ってしまうんです!「万引き家族」どころの話じゃありません。「万引き家族」で安藤サクラさんが仕事をクビになった後、デパートで高級化粧品を買っていたというシーンがありましたが、このテクニックを使うことは不可能でしょう。あまりにも堂々とした手さばきとサンドラ・ブロックの存在感の圧で、思わず袋を手渡してしまう店員さんの気持ち、分かります。正直「なるほど!頭いいな〜!」と感心してしまいました。同じことを真似する人がいないといいですけどね。その後、高級ホテルに向かい、他人の毛皮のコートとスーツケースを華麗に手に取り、掃除中の部屋にあたかも自分の部屋であるかのような素振りで潜り込む。観客に「犯罪のプロ中のプロ」だと信じさせるあの一連の流れはお見事。あそこまで行動に迷いがないと周りは気づけないだろうなぁ。。

 

しかし、今回の本命であるカルティエ・コレクション最大のネックレスの1つである”トゥーサン”(1億5000万ドル)盗み出すその計画に関してはところどころ詰めの甘さを感じました。ざっくり言うと、世界最大のファッションの祭典”メットガラ”でホストを務めるハリウッド女優のダフネに、”トゥーサン”を身につけてもらい、パーティーに潜入し隙を見て盗み取るという流れ。落ち目のデザイナー、ローズを引き込んで仲間にし、”メットガラ”で着るダフネの衣装を担当させるように仕向けます。人気急上昇中の若手女優(最近妹の方が活躍しているダコタ・ファニング)とローズを接触させ、蜜月だという記事をねつ造。その記事にダフネが見事に食いついて早速ローズをデザイナーに雇うんです。そ、そんな簡単に上手くいくぅ〜???

まぁ、そこは100歩譲るとして、ローズと天才ジュエリー職人のアミータがカルティエ本店に行き、”メットガラ”でダフネが着用するために”トゥーサン”を貸し出してもらえるように頼むんですね。そしてなんとかして実物を見せてもらい、3Dでネックレスの模造品を作るためにローズが眼鏡についているカメラでスキャンするんです。表面だけ。3Dで作るのに表面しかスキャンしなくて大丈夫なの???まぁ、それも100歩譲りましょう。

いよいよダフネが”トゥーサン”を身につけ祭典に出席しますが、普通1億5000万ドルもする高価なジュエリーなら5分10分お披露目するだけなのかと思いきや、しばらく経って食事の時になっても外さないんです。そもそも”トゥーサン”って3キロある(ことになっている)んですよ。3キロって言ったら我が家の3ヶ月の子猫の2倍です。子猫2匹分の重さを首にぶら下げたままの状態でよく食事できるな!首を痛がる描写もなく。とあまりにもリアリティーに欠けて、う〜ん、これはファンタジーと考えたほうが良いのかしら。と思えてきたほど。

途中「何でわざわざこんなことするの!こうしたほうがスムーズなのに!」と私が悶々としていたところはスリードと分かり、やられた感はありましたが、それにしてもその「実はこうでした」というエピソードもあまりにもご都合主義というか。ダイヤモンドの扱い方も酷いものだったし・・・と、こうやって書いているとストーリー全て書いてしまいそうなのでこの辺りで止めておきます。。

 

とはいえ、キャストは非常に魅力的でした。ダニー・オーシャンの妹デビー役のサンドラ・ブロックの冷静で余裕さえうかがえる堂々とした存在感や、デビーの相棒であるケイト・ブランシェット女性の目から見ても惚れてしまいそうなかっこよさ、デザイナーのヘレナ・ボナム=カーターはちょっとキャラがぶれているようにも感じました(デザイナーとしてのイメージはヴィヴィアン・ウェストウッドがモデルになっているらしい)が、リアーナ、ミンディ・カリング、オークワフィナ、サラ・ポールソンなどベテラン勢以外のキャラクターの存在もバラエティ豊かで、みんながそれぞれにかっこいい女性像を体現していました。文化や人種が異なる様々なキャラクターが1つのチームとなって活躍する姿はとても爽快!さらに今回デビーたちのターゲットとなるアン・ハサウェイが今までの優等生キャラを脱却し、ナルシストで常に注目を浴びていたいハリウッド女優役を演じていますが、これは見事にハマり役。役では”女が嫌う女”のように描かれているものの、コミカルさもあって憎めない存在になっていました。(「ひとりっ子?」って聞かれるあの台詞は秀逸だったなぁ。)もっとこのキャラが見たい!という気持ちにさせられます。たぶん、この手の役のオファーたくさん来るんじゃないですかね。サンドラ・ブロックとケイト様の仲睦まじいシーンも見所。ケイト様といえば「キャロル」で同性愛者の女性を演じたことも記憶に新しいですが、おそらく女性ファンが多いということもあり需要が高いのだろうな〜と思いました。

そして豪華で個性豊かなファッションも観ていて楽しいポイントです。キャラクターのタイプがそれぞれ全く違うので普段の私服姿も面白いし取り入れやすいかもしれません。特にケイト様の中性的なファッションがかっこよかったです。パティ・スミスやデボラ・ハリー、デヴィッド・ボウイキース・リチャーズなど70年〜80年代のロックシーンで活躍した人たちを参考していて、ニューウェーブ・ミーツ・ロックンロール的なスタイルに、同時代のニューヨークストリートスタイルをMIXさせたとのこと。ニューウェーブファッションと言えば「プリティ・イン・ピンク 恋人たちの街角」のファッションもとても魅力的でおすすめの映画です。そして、ファッション・アイコンとして若者を中心に人気のリアーナは、普通の人が真似するには難易度が高い独自のセンス溢れるオシャレさで、ファッションというかそのスタイル自体がめちゃくちゃかっこよくてさすがだなと思いました。祭典の際に着用するドレスは、アルベルタ・フェレッティ(サンドラ・ブロック)、ジバンシィケイト・ブランシェット)、ヴァレンティノ(アン・ハサウェイ)、ナイーム・カーン(ミンディ・カリング)、ジョナサン・シンカイ(オークワフィナ)、プラダサラ・ポールソン)、ザック・ポーゼン(リアーナ)、ドルチェ&ガッバーナ(ヘレナ・ボナム=カーター)といった世界のトップブランド揃い。デザイナーたちのディレクションはVOGUEの編集長でおなじみのアナ・ウィンターが担当しています(最近映画によく顔出すな〜)。ドレスと女優さんたちのイメージが合っていて、さらに魅力を最大限に引き出すことに成功しています。ゴージャスで美しくてかっこよくて素晴らしい。また、全体を通して男性を意識したような媚びた衣装やドレスを着ていないことも女性の強さやカッコよさ、男性に頼らなくても生きていけるという意志が感じられてとっても好感が持てました。

窃盗団とはいえ、彼女たちには欲深さをあまり感じないんですよね。そこがなんだか現代的だなと思います。もちろんお金は欲しいけど、”なんか面白そうだしやってみる”といったカラッとした空気が感じられます。女同士で上手くやっていくのってそういう気風が必要なのかもしれません。なんだかちょっとこういう女同士のチームっていいなぁと羨ましい気持ちになりました(そんな私はひとりっ子)。