退屈から抜け出すための映画

観た映画を記憶に残すための記録ブログ。

男女平等をかけた熱いバトル「バトル・オブ・ザ・セクシーズ」

バトル・オブ・ザ・セクシーズ

バトル・オブ・ザ・セクシーズ パンフレット

日比谷シャンテ スクリーン2で観てきました!すっごく面白かったです。

いつも映画館に行くとトイレ情報など(どの出口が1番トイレに近いか)を記録しているのでちょいちょいブログにも記録しておこうと思います。(いらない?)

トイレ情報:D19横の出口が1番トイレに近いです!

座席情報:椅子は背もたれ低めで頭1個分くらい出ちゃいます。私は映画で銃声を聞くとビビって飛び上がりそうになる方なので、後ろの人にビクついてるのがバレる可能性があるから注意が必要だな・・・、と思いました。

作品につて

公開:2017年 アメリ

原題:Battle of the Sexes

監督:ジョナサン・デイトンヴァレリー・ファリス「リトル・ミス・サンシャイン」「ルビー・スパークス」)ご夫婦!

脚本:サイモン・ボーファイ(「エベレスト」

感想

テニスという1つのスポーツを通して、1970年代当時の男女の格差や性差別問題を描く本作。男女の優勝賞金の格差(女子が男子の8分の1!!)から、男女平等のためビリージーン(エマ・ストーン)を筆頭に女子テニスプレイヤーたちが新しく女子テニス協会を結成するところから物語が始まります。ビリージーンが賞金についてテニス協会のお偉いさん達に抗議をしに行くんですが「観客が集まるのは男子の試合」「男子の方が面白い」と言われてしまう。この時の全米テニス協会責任者のジャック(ビル・プルマンロバート・デニーロ似)がニヤニヤと余裕な雰囲気を出しつつ馬鹿にしてくる感じがとにかく腹立つんですよ!(この人ずっとにやにやしていますが)データや根拠も出さずこういうことをさらっと言ってしまう人ってもう男性至上主義の感覚がすり込まれてしまって何言っても通用しなさそうなのがこわい・・・。

ビリー・ジーンが対戦する元男子テニスプレイヤー王者のボビー・リッグスも「女は男にかなわない!」などの女性蔑視発言で女性を敵に回しイラっとさせますが、正直本気で言っているのか冗談で言っているのか曖昧なところで、試合を盛り上げるための一種のパフォーマンスのように感じられるので嫌な感じがしないんですよね。ヌードになったり、女装したり、ラケットの代わりにフライパンを使ってプレーしたり、わざと反感を買うようなことをするのがくだらなすぎて笑っちゃう。また、ボビーを演じるスティーブ・カレル自身の愛嬌もあってよりチャーミングに見えました。しかも、ボビー・リッグスにそっくりです。(もちろん私はこの当時まだ生まれてもいないので見た目だけで言っていますが。)そんなボビー・リッグスも家では奥さんに距離を置かれていて、食事のシーンで長方形のテーブルの誕生日席にボビーと奥さんが向かい合って座りその間に息子がひとりぽつんと座っていて、お互いの距離が遠く特に奥さんとボビーの距離がめちゃくちゃ離れています。一瞬でこの夫婦もうダメだろな・・・と察しさせるのが上手い。引退後は世間からも忘れられてしまい、夫婦の関係も崩壊ししつつある。そんなボビーが復活を遂げ、妻の気持ちを取りもどすために男女間の対決を煽ったと考えたらなんだか同情の気持ちも芽生えてきます。

 

物語の前半はテニスの試合よりビリー・ジーンとマリリンの出会いから徐々にお互いの距離を縮めていく様子の方が丁寧に描かれています。女子テニス協会のお披露目会の前にビリー・ジーンら女子プレイヤーたちは美容院に髪をセットしに行き、そこで美容師をしているマリリンと出会い、2人は惹かれ合います。ところでマリリン役の人なんか見覚えあるなと思っていたんですが、「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡) 」でマイケル・キートンの彼女らしき黒髪の女性だったんですね。まるで雰囲気が違うので女優さんってすごいと改めて思いました。。話は戻りましてその後、マリリンがビリージーンの試合を見に来たりしてまとわりつくようになるのですが、この2人のイチャイチャがやたらと長く感じられてそこは結構苦痛でした。それにビリージーンは既婚者。旦那さんはものすごく優しくてビリー・ジーンのサポートを1番に考えてくれています。ビリー・ジーンとボビーの対決の時にビリー・ジーンの顔のイラストが描かれたTシャツを着ていたのがなんとも可愛らしいじゃありませんか!ビリージーンのライバルでもある「世界一有名な母親」とも呼ばれたマーガレット・コートもいつも旦那同伴で子供の面倒を見たり妻をサポートしていて、全体的には男性優位主義の風潮があるもののこの頃から男女の役割にこだわらない新しい夫婦の形もあったのだということも一つの発見でした。マーガレットは皮肉なことに「母の日」にボビーとの対決に負けてしまいますが、その試合を見てビリー・ジーンは戦いに挑む決意をします。

私は小さい頃から運動音痴だったということもあって、普段からあまりスポーツに馴染みがないのですが、最後に描かれるビリー・ジーンとボビーの”バトル・オブ・ザ・セクシーズ”すなわち男女対抗試合の様子はとても面白かったです。試合の様子はコート全体を画角に収め、ボールの流れや選手の動きをすべて把握することができるように撮影されています。そのため、実際の試合を見ているようで緊張感に包まれながらつい拳を握り、試合に没頭して観ていました。ちなみに、エマ・ストーンはテニスの経験がなかったそうですが4ヶ月の特訓を受けて7キロも筋肉をつけたそうです。やっぱり役者さんの気合はすごい。実際の出来事なのでオチも何もないので書いてしまいますが(私も観る前から結末は知っていました)ビリー・ジーンが勝利した瞬間鳥肌が立ち、歴史が変わった瞬間を目撃したぞ!というすごい瞬間に立ち会ったかのような感動に包まれました。そしてビリー・ジーンの勝利が決まった後にボビーがビリー・ジーンに掛けたひとことも敬意を感じられていいなぁと思ったのでした。ビリー・ジーンはボビー・リッグスのことをとても尊敬している選手だとインタビューでも語っていて、憎しみから生まれたバトルとは違う清々しさを感じられたのも良かったです。あとで「俺は55歳だけどビリー・ジーンは29歳だ!これでは平等とは言えない!」と言い出すんではないかと思ったんだけど・・・(確かにそうだしなぁというのもある)

 

この映画を観て私が思ったのは、ビリー・ジーン(女性)と正々堂々と勝負したボビー・リッグス(男性)はとても立派だったけど、自分では戦いもせず安全圏に居ながら女性を蔑む発言ばかりして、正当な地位を与えない男性たちが1番タチが悪いなぁ、と。しかも権力を持っていたりするので悪い意味で”戦わずして勝つ”といった感じ。

最近でもハリウッドでマーク・ウォールバーグミシェル・ウィリアムズのギャラ格差問題やトランプの差別発言などあっただけあってとてもタイムリーなこの作品。そのギャラ格差問題のあった作品ですが、ケヴィン・スペイシーのセクハラ問題のせいで再撮影が行われることになったリドリー・スコット監督の「ゲティ家の身代金」でマーク・ウォールバーグは150万ドル(約1億6700万円)貰っていたのに対し、ミシェル・ウィリアムズは1000ドル(約11万円)未満だったと言われています。その差はなんと1500倍!!もちろん登場場面が少ないなど明確な理由があるのならわかりますが、私が見たところ出演場面に大きな差はないように思いましたし、マーク・ウォールバーグが激しいアクションをしたり、特別難しい技術が必要(楽器を演奏するだとか、ものすごく長いセリフがあるだとか)な場面もなかったように思います。「バトル・オブ・ザ・セクシーズ」でビリー・ジーンが男女の賞金格差のために戦って勝利したというのに、あれから40年以上経った現在でも同じようなことが繰り返されていると思うと本当に絶望的な気持ちになります。。

それにしてもアメリカでは去年の9月に公開されているのに日本では約1年後に公開だなんて・・・もうちょっとこの差縮められないもんですかね。。

補足

試合の時にボビーが着用していた黄色いジャケットに書かれた「シュガーダディ」や、ビリージーンの登場曲の意味など、町山さんがたまむすびで解説されていますので是非。