退屈から抜け出すための映画

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映画「ヘイル、シーザー!」(ネタバレあり)

「ヘイル、シーザー!」

作品データ

監督:ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン
製作:ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン、ティム・ビーバン、エリック・フェルナー
製作総指揮:ロバート・グラフ
脚本:ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン
撮影:ロジャー・ディーキンス
美術:ジェス・ゴンコール
衣装:メアリー・ゾフレス
編集:ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン
音楽:カーター・バーウェル
出演:ジョシュ・ブローリン、ジョージ・クルーニー、オールデン・エアエンライク、レイフ・ファインズ、ジョナ・ヒル、スカーレット・ヨハンソン、フランシス・マクドーマンド、ティルダ・スウィントン、チャニング・テイタム

概要・あらすじ

1950年代のハリウッド。あるメジャースタジオの命運を賭けた超大作映画「ヘイル、シーザー!」の撮影中、主演俳優で世界的大スターのウィットロックが何者かに誘拐されてしまう。撮影スタジオは混乱し、事態の収拾を任された何でも屋が、セクシー若手女優やミュージカルスター、演技がヘタなアクション俳優ら個性あふれる俳優たちを巻き込み、事件解決に向けて動いていく。(映画.comより抜粋)

 感想・解釈

コーエン兄弟の最新作、「ヘイル、シーザー!」を観てきました。

レビューを見るとなんだか評価が低いですが、わたしは面白かったです。

笑えるシーンもところどころあり、見所のあるシーンもあるのですが、どこかサラッとした流れで物足りない感はあるかもしれない。でも撮影現場の裏側とか見てるのって単純に楽しいので、映像観てるだけで満足感ありです。

話は1950年前半のハリウッドが舞台なので、キャラクターはそれぞれモデルとなった実在の人物がいます。それがわかるとちょっとおもしろさが増すかも。少なくとも私はそういうちょっとした事を知ることが楽しいです。

まず、舞台となる”キャピトル・ピクチャーズ・スタジオ”ですね。これは”MGM”というアメリカの大手映画配給会社がモデルですね。映画の始まる前にライオンが吠えるあの映像をご存知の方も多いかと思います。あのスタジオです。

そしてスタジオの何でも屋”エディ・マニックス”(ジョシュ・ブローリン)は、MGMで同様の役割を担った実在の”エディ・マニックス”と”ハワード・ストリックリング”がモデルとなっています。

この2人はハリウッドの歴史上もっとも悪名高いフィクサー(=何でも屋)として有名で、スターの悪行などが世間の目に触れないよう隠蔽工作を図っていました。

しかし、エディ自身にも色々と黒い噂が飛び交っており、ギャングやマフィアとの関係や、妻と不倫の関係にあった俳優の不可解な死など調べるとぞっとする話が出てきます。怖い。

 

次に、誘拐されてしまう間抜けなスター”ベアード・ウィットロック”は1950〜60年代に活躍していた”ヴィクター・マチュア”というマッチョ俳優がモデルだそうです。

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※左がヴィクター・マチュア、右がクルーニー。

水平姿で踊る”バート・ガーニー”(チャニング・テイタム)のモデルは分かりやすいですね。躍動感あるダイナミックなダンスでお馴染みの”ジーン・ケリー”です。

ミュージカルシーンは「錨を上げて」と「踊る大紐育」をオマージュしていますが、どことなくゲイの匂いが・・・。

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 ※左が「踊る大紐育」、左が「ヘイル、シーザー」。

 水中ダンスシーンの美しい人魚”ディアナ・モラン”(スカーレット・ヨハンソン)は 元競泳選手の女優”エスター・ウィリアムズ”。本作品での水中演技シーンも美しく素敵ですが、当時の映像を見るともっとすごいです。豪華すぎるセットに度肝を抜かれます。火花散ったセットがプールの中から出てくるんですよ?一体どうなってるのか。。すごい時代ですね。。


Lo mejor de Busby Berkeley: Esther Williams en "La primera sirena" (Million Dollar Mermaid, 1952)

 そしてこのディアナの妊娠トラブル。これはロレッタ・ヤングがクラーク・ゲーブルと「野性の叫び」で共演した際に妊娠し、極秘出産。世間には養女を取ったとしていた事実が元ネタとなっています。

 

演技の出来ない歌うカウボーイの”ボビー・ドイル”(アルデン・エーレンライク)は西部劇のスター、ロイ・ロジャースがモデル。いま、ロイ・ロジャースで検索するとデニムジーンズばかり出てきますね。。

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※LIFE紙の表紙になったロイ・ロジャース。すごい角度。

そしてその演技の出来ないボビーに業を煮やすローレンス・ローレンツ監督(レイフ・ファインズ)は「マイフェア・レディ」などの巨匠ジョージ・キューカー監督がモデル。ヒッチコックやジョン・フォード、ルイス・ブニュエルなどを影で支えたすごい人。ゲイであることは知られていましたが、それゆえ女性をより深く理解し、映画に反映することができた人なのではないかと思います。 

最後に、双子のコラムニストソーラ&セオリー・サッカー”(テルダ・スウィントン)は、ヘッダ・ホッパー(元々女優だったが鳴かず飛ばずだったためコラムニストに転身)とルエラ・パーソンズ、そして新聞の人生相談コラムで人気のあった双子のアビゲイル・ヴァン・ビューレンとアン・ランダースをミックスさせたような存在とのことです。

 もっとハリウッド黄金期の作品を観てみたい!という方は「ザッツ・エンタテインメント [DVD]」を観るととても分かりやすいのでオススメです。

まるで観る映画カタログのようで楽しい。